「自立」に向かう話し合いを創るために


(1)トラブルを成長へ
人と人が集まる場所にはトラブルがつきものです。
学校という場も同じ。
子どもと子どもが互いにぶつかり合う場面はどの教室にも見られるものです。


…数年前の出来事

「先生!A君とBちゃんがケンカしちゃいました!」
昼休みが終わり、
「掃除やるぞぉ~!」と意気込んで教室に入ってきた私の耳にこんな声が。
みると、なにやら険悪な雰囲気のお2人。
周りにいた人の話を聞いてみると、ささいなことが原因でケンカになったもよう。

(私の心の声)
「う~む。どうしたものか。
 先生が間に入ってトラブルを解決するのはすごくたやすいこと。
 でもそれってちょっと違うような気がするなぁ。
 先生がいないと問題が解決できないクラスなんて最高のクラスなんかじゃない。
 トラブルを先生にまかせるんじゃなくて、トラブルを自分達の問題ととらえて、
 みんなでのりこえていこうとするクラスこそ最高のクラスだよなぁ。
 よし!私はサポート役になり、子どもたちに任せよう!」


そんな思いから、ケンカした時の状況を知っていた2人に「おたすけマン」を頼んだ。
(「おたすけマン」とはトラブルが起こったときに2人の間に入って話をききアドバイスをする人です)
さっそく(夏休み中せっせとつくった)「かいけつボード」を準備して、
話し合いスタート。
「かいけつボード」には「おたすけマン」がどのように話を聞くのかの
手順が書いてあるのだ。

私は、他のメンバーと掃除をしながらそっと見ていた
「おたすけマン」の2人、一生懸命話し合いを進めている。
「A君は次からこうするといいんじゃない?」
「Bちゃんはここが悪かったからこうしたら?」

話し合いが終わった。

そっと「おたすけマン」に聞いてみた。
私:「どうだった?」(小声)
すると、
「ばっちりです!だいじょうぶですよ!」
となんとも頼もしい答えが!
ケンカをした2人。
けっこうスッキリした顔で掃除に参加。
掃除が終わって、ケンカした2人に聞いてみた。
「2人の仲はもう大丈夫なの?」
すると、
「もう大丈夫です!なぁっ?」
とうなずき合うA君とBさん。
それを見て、おたすけマンの2人はガッツポーズ!!



この時の話し合いはとってもうまくいった。
「やっぱりみんなは自分達で解決できる力をもっている!信じて良かった!」
そんな経験から、子ども同士がトラブルを乗り越えるために話し合う場を大切にしてきた。

教育の最終ゴールは「自立」です。 
だからトラブルが起きても、自分たちの手で解決できるようになってほしい。

…でもね。

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